物件下見チェックポイント物件下見チェックポイント
●さて、不動産投資での要注意の建物について…。 ●1970年代の鉄骨造の建物 舞鶴市で1981年以前建設の14の体育館のうち10で溶接不良とわか り補強工事。不良をだした建設会社や鉄骨製作会社は特定の一社で はなく数社です。これは当時の溶接レベルが一般的にその程度だっ たということ。(日経アーキテクチュア03.3.17号) 1970年代前の建築現場では熱した鉄のリベットで鉄骨をとめまし た。しかし溶接の方が安価で静かなので一気に溶接が普及します。 しっかり「溶け込み溶接」が行われ盛り上がった溶接部分は鉄骨本 体より強い強度を持ちます。現在なら技術も高く検査もしっかりな されています。 しかし過渡期の70年代は経験不足であり、溶接に問題のある鉄骨 造建物は多いようです。70年代の鉄骨造建物は要注意です。 鉄骨造は鉄がむき出しになりやすく、維持管理次第で状態が大き く変ります。海に近ければ鉄は早く腐食し、2-3ミリの軽量鉄材なら 両側から腐食し5年程でほぼなくなることもあります。 ●1970年前後西日本のRC建物 鉄筋コンクリート(RC)柱の中の鉄筋は普通なら錆びません。コ ンクリートがアルカリ性を保っていればその中にある鉄筋は錆びな いのです。しかし一旦鉄筋が錆びると鉄筋は倍以上に体積膨張して 周囲のコンクリートへのひび割れを起し、コンクリートはどんどん 弱くなります。 コンクリートには砂を使います。西日本は砂を海で採取すること が多かったようです。海で採取しても、よく洗浄すればいいのです が、1970年前後の西日本では洗浄不足で塩分を残した海砂が多く使 われました。その塩分が20年30年かけてコンクリート中の鉄の腐蝕 をすすめています。山陽新幹線のトンネル崩落も同じ時期のもので す。 水分の多いコンクリートは現場作業がすすめやすくなるので、水 の多いコンクリートが使われてしまったRC建物もあります。 コンクリートが固まって水が抜けるとそのすき間に炭酸ガス等が 入り込み中性化し、鉄筋が錆びやすくなります。西日本の海砂だけ でなく全国的に中性化したコンクリートにも注意です。 ●1981年の新耐震以前の建物 1968年十勝沖地震でRC柱の破壊が注目されました。RCの柱は たとえ地震で大きく曲がったとしても、曲がったままで建物を支え ると思われていました。 しかし地震により柱が一気に崩れコンクリートがボロボロと崩落 し鉄筋だけとなってしまい、建物を支えられなくなるということが 分りました。「せん断破壊」です。道路橋脚等で鉄板巻補強された 柱を見かけますがこの補強です。この教訓で1971年の建築基準法改 正されます。 1978年に宮城県沖地震でピロティと壁の偏在が注目されます。マ ンション1階の駐車場のようにほとんど柱だけで建物を支えている 階をピロティといい、地震には弱いものです。また壁配置のバラン スが悪いと地震のゆれで建物がねじれ崩壊します。 これら教訓が1981年建築基準法改正となります。1971年改正と19 81年改正が区切りであり、特に1981年改正が「新耐震」と呼ばれて います。それ以前の建物なら注意です。 ちなみに新耐震だからといって、大地震でも壊れないというもの ではありません。壊れはするが、柱が残る等で人命を守る壊れ方を するということです。 阪神大地震で大破以上の被害を受けた新耐震RC建物が10数棟あ りましたが,ほとんどがピロティの建物です。新耐震でもピロティ は要注意です。 ●設計図書や検査済のない建物 設計図書がない建物は,建物診断をすることすら大変です。その 後の維持改修工事に苦労することは言うまでもありません。 築年の古い建物では改修工事で、無理に壁をとったり梁をそいだ りと、建物構造が大きく痛んでいるものも多くあります。検査済証 がないという理由だけでノンリコースローンがでないこともありえ ます。 (バードレポート 2003年4月7日 第442号から) ジャンル別一覧
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